 |
概要 |
プロセスジオメトリの微細化とデザインしなければならない機能の複雑化に伴い、パワー・マネージメントは製品開発において非常に重要な要素となっています。パワー・マネージメント・テクニックには、さまざまな方式の多電圧制御手法があります。デザインの機能が複数の電圧で制御されているため、その検証の複雑性の克服と要求される精度の達成は重要な問題です。多電圧設計には、あらゆる電圧状態での機能の検証、および電圧遷移とシーケンスの検証が欠かせません。また、パワー・マネージメント・テクニックを用いたデザインでは、電圧動作が高い精度で正しく行われる必要があります。たった1つのエラーがデザインを不定状態にし、デザインのロックアップや機能不良を引き起こすことさえあります。しかしながら、従来のシミュレーションでは、電圧の波形特性が判断されず、すべての電圧制御スキームをくまなく検証できませんでした。
MVSIMは、電圧の波形特性を完全に理解し、電圧の状態を考慮した検証を実行できるコ・シミュレータです。パワー・マネージメントに電圧制御手法を用いたデザインの包括的検証を可能にします。
|
| |
| MVSIMの主な機能とメリット |
■ |
すべての多電圧手法を総合的にカバーすることにより、デバッグ時間の短縮と製品コストの削減を実現 |
| ■ |
業界標準Unified Power Format(UPF)で表現されたローパワー設計の意図(低消費電力化計画)を完全に理解し、多電圧設計手法を包括的にカバー |
| ■ |
電圧の状態を考慮した非常に高精度なシミュレーションを実行 |
| ■ |
自動組込みアサーション機能により、未検出バグのリスクを低減し、検証時間の削減と検証精度を向上 |
| ■ |
電圧レギュレータ、レベルシフタ、パワースイッチなどのパワー・コンポーネントの電圧を考慮したモデリングにより、消費電力検証の精度を向上 |
| ■ |
エラー・メッセージとワーニング・メッセージのカスタマイズが可能なため、既存フローへの統合が容易 |
|
| |
既存の設計フローへの適合が容易なMVSIM |
MVSIMは、Verilog Procedural
Interface(VPI)やProgramming Language Interface(PLI)経由でVCSなどの機能シミュレータと連携するコ・シミュレータです。MVSIMは、VCSと同じVerilog
HDLまたはVHDLのRTLまたはゲートレベルのネットリストを検証対象とし、VCSと同じテストベンチを使用できます(これによりVCSのパワーマネージメント・チェックが強化されました)。さらにMVSIMでは、ローパワー設計意図をUPFで指定することができます。
MVSIMは、すべての電圧イベントを理解し、すべてのパワー・マネージメント機能を検証するためにデザインの高精度なコ・シミュレーションを実行します。MVSIMは、多電圧チェックに関連するすべての違反のエラー/ワーニング・レポートとログファイルを出力します(図1)。 |
|
|
|
|
図1:MVSIMは既存の設計フローへの統合が容易 |
| |
| MVSIMの独自性 |
■
|
MVSIMはローパワー設計意図を正しく理解して検証を行います。複数の電圧が同時に変化するときのバグや電圧投入/切断時の不適切な動作に起因するバグを検出できます。 |
| ■ |
MVSIMは、ダイナミック電圧/周波数スケーリングや低VDDスタンバイなどの電圧制御手法を完全に検証できます。 |
| ■ |
MVSIMは自動アサーション組込み機能を搭載しています。これらのアサーション機能は、ツール開発で培われてきた、長年にわたる低消費電力検証技術の知識をベースとしています。自動アサーション機能により、検証エンジニアは、発生する可能性があるすべての不具合のシナリオについてテストベンチとアサーションを記述する場合と比べ、はるかに短時間で検証プロセスを完了させることができ、テストベンチの不備による機能不良の発生というリスクを低減することができます。 |
| ■ |
MVSIMは、電圧レギュレータやレベルシフタといったパワー・コンポーネントの不適切な動作を検出するための動作モデリングが可能です。 |
|
| |
|
MVSIMがもたらす開発期間の短縮 |
| 図2は、一般的なパワー・マネージメント機能をドライブするファームウェアを搭載し、パワー・マネージメント・テクニックが多用されているSoCの検証フローの例です。さまざまなパワーモードでチップが正しく動作するかどうかを確認するために、ファームウェアはハードウェアと併せて検証する必要があります。FPGAプロトタイピングやエミュレーションでパワーマネージメント・システムの中のファームウェア・コンポーネントを検証することはできません。 |
| |
|
図2:MVSIMは開発期間を短縮 |
| |
電圧を考慮しない従来のシミュレーション・エンジンを使用したフローでは、テープアウト前にファームウェア検証は行えません。これは、従来のシミュレータでは多電圧を用いた設計がシリコンに与える影響を高精度にモデリングできないためです。これまでのフローでは、シリコン製造後にファームウェアのデバッグが行われるため、その段階でパワー・マネージメントのバグが検出された場合にはリスピンが生じ、エンジニアリングと製造のコストが増大し、製品投入の遅れによる収益の損失が発生します。
MVSIMは、多電圧を用いた設計がシリコンに与える影響を理解し、すべての電圧動作を波形として処理します。これによってすべての電圧の状態を考慮した検証を実行します。SoC設計者は、これらの能力を最大限に活用して、ハードウェアの検証と同時に、ファームウェアをデバッグすることができます。その結果、すべてのパワー・マネージメント機能をテープアウト前に完全に検証できるため、リスピンのリスクを負うことなく、完全な機能を満たした製品を非常に短期間で開発することができます。
|
| |
| 結論 |
| リーク・パワーならびにダイナミック・パワー両方の消費電力を抑えるため、パワー・マネージメント手法は次第に活用頻度が増しています。多電源設計には、すべての電圧制御手法に対応した包括的な検証が必要です。MVSIMは、電圧の波形特性を理解し、すべての電圧状態、遷移、シーケンスをカバーする、電圧変動を考慮したコ・シミュレータです。MVSIMは、すでに多くのお客様のデザインに採用された実績を持っています。 |
| |